徒然なるままにー欲望の果て
徒然なるままにー欲望の果て
先日、NHKスペシャル、未来への分岐点を見た。2030年に食糧不足が顕在化して人の存亡に大きな影響を与えることになる分岐点が今だと。そしてこのままの食料システムが続けば2050年には食糧価格は暴騰し食料争奪戦がおきていると。食料が高騰しても金持ちは今まで通り購入できるが一般の人々は購入に苦労して貧しい食生活に陥る。人口増、飽食、無駄な廃棄、農作地の衰退、環境問題等によるもの。四、五十年も昔「成長の限界」と言う本を読んで大きな衝撃を受けた事を覚えている。今、山里での出来るだけの自給自足をし昔ながらの作物作り(刈草を堆肥に積み、化学肥料を少量に抑える)をするのも、この本の影響を受けているかと思う。しかしそれらの事象をよく見ていくとその本質的な問題点として「人間の欲望」にたどり着く。また、企業は増収増益を最大目標として個人の消費を煽るコマーシャルを流し続ける。その意味では2030年の分岐点はこの地球上で人間が幅を利かせて暮らしている以上必然的に起こることかと思われる。先進国では少子化とか言われているが、地球全体では人口は増え続けている。何十年か前に人口50億と言われていたがもう75億を越え、2050年には100億と推測されている。一方、人の食への欲望は止まるところを知らず、もっと美味しい肉を魚を、野菜をと、そして消費期限を定めその時がくれば廃棄する。勿論そのコストも売価に含まれる。一方途上国では食べる物に困り子供が死んで行く。農家も少しでも多く生産し売上を増やそうと化学肥料を大量に使う、短期的には生産が増えても土地は痩せていきやがて生産量も減少する。また人は快適に過ごそうとの欲も尽きない、それらの全てが環境問題につながり、地球の砂漠化へと進む。大量消費、経済最優先の世界だ。人類は地球に養われて繁栄して来た。全てのベースは地球にある。しかし人類の欲によってその地球は壊されていく。禅語に「吾唯足知」と言う言葉がある。また聖書にも「今あるもので満足しなさい」と言う言葉がある。人類が、と言うよりも先進国の人々が欲望の追求を止め、足(たる)を知って生きる暮らしをするだけで2050年の地球を救えるのだろうが、これが不可能な程に難しい。人はこの世の暮らし方に慣れきって麻痺してる。先進国は自国の豊かさを最重点にしている。恥ずかしくも無く○○ファーストと言い、自分達が良ければそれで良いと。それを変えることは麻薬をやめるくらい難しいみたいだ。「成長の限界」は1972年の本である。それ程の昔に警鐘を鳴らしていたが人は止まらない。確か数十年前にアメリカのゴア元副大統領が環境問題の映画を作ったか…。せめて目を覚ました人だけでも、自分の欲望を制御して暮らしたい。そう思わされた番組でした。
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