眠られぬ夜のために
年寄りの夜は早い。10時前には就寝、一方トイレも近い。トイレに起きるともう程々に睡眠時間も確保された後であり眠れない。従って夜明け前に目が覚めて起きるには暗く、眠られぬ時間を迎える。こんな時多くは今日の事、何か心配事が頭の中で駆け巡り、悶々と布団の中で眠られぬ時間を過ごすことになる。そこでヒルテイの出番となる。ヒルテイ著「眠られぬ夜のために」の出番である。
彼はスイスの哲学者であり国際法の大家でクリスチャンである。眠られぬ時間を自分の思いに身を委ねて悶々とするよりこの静かな時間を普段疎かになりがちな内的生活の為の時間とし人生最上の宝を手に入れようと提案する。聖書の一節を取り上げたり、ダンテの神曲をとりあげたり、それらを365日の日めくりとする事で短い文章の中に素晴らしい言葉が詰まっている。
そもそもキリストも「自分の命のことで何を食べようか何を飲もうかと、また自分の体のことで何を着ようかと思い悩むな。命は食べ物より大切であり、体は衣服より大切ではないか。」「あなた方のうちだれが、思い悩んだからといって、寿命をわずかでも延ばすことができようか。」「明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である。」と言っておられる。
私も夜半に目が覚めて眠られない時今日もヒルテイに助けを求め彼の提示してくれる言葉に思いを馳せる。そうしているうちに知らず知らずまた眠りの中に落ちていく^_^。
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